2015-10-12 舞台はレストランの中がほとんどという映画『ディナーラッシュ』
『ディナーラッシュ(Dinner Rush)』というタイトルは文字通りに夕食時の慌ただしさを意味します。 まさにその慌ただしさを表している映画です。
さっそくご紹介しましょう。
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★★★
舞台はニューヨークの人気イタリアンレストランです。 99分の映画ですが、そのほとんどがこのレストラン内の映像で、レストランのオーナー、そこで働くシェフ、お客さん、それぞれの人間模様が描かれています。 登場人物はとても個性的なキャラクターが設定されています。 撮影場所は映画を撮った監督であるボブ・ジラルディが本当の所有しているレストランが使われているそうです。
殺人という血なまぐさいシーンもあります。 ストーリーの展開とかというよりも人間の交錯やそれぞれのシーンの描き方を大切にしている映画という印象です。
ボクが特に気に入ったシーンは、レストランの経営方針で確執がある親子の会話シーンです。 天才シェフの息子が引退を決意し父親から実質の経営権を預かるときの会話です。 息子「あの隅の定席は明け渡せよな」 父親「そいつは契約外だ、ボス」 と言ってお互いが目を合わせて、息子が部屋を出て行く場面です。 これが確執があってもお互い信頼している親子の関係を表していてとてもイイです。
ただ、映画そのものはこれといったアピール性はなく、作者は何を伝えたかったのか、と考えてしまうような不思議な映画です。
Information
公 開:2002年9月(日本) 製作国:アメリカ 配 給:Access Motion Picture Group 監 督:ボブ・ジラルディ
2015-10-04 【ブラ旅】新潟駅から萬代橋へと思って歩き出したら、古町界隈まで行ってしまった!
新潟への出張で午前中空き時間ができたので、宿泊先のホテルがある新潟駅から萬代橋までショートブラ旅してきました。
さっそくスタート!
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★★★
新潟駅の万代口から大通りが伸びているのですが、その脇道がある弁天通商店街の方を歩き出しました。 するとさっそく弁天様のお出迎えです。
弁天様の由来もしっかりと記されており、しばし立読みです。
立読みを終えると、商店街を北方面へ歩き出します。
昨夜「へぎそば」をいただいた『須坂屋そば』の前を通りすぎます。
暫く歩くと突き当たりに出くわしました。すると「万代シティウォーキングMAP」なるものを発見。 これを見てしばしどこの道を攻めるか思案(といってももうすぐ萬代橋なんですけどね)。
高校生や若い方が多く歩いているエリアに出てきました。
ロフトやスターバックスなどがあります。
途中で、大通りの方へ抜けると「新潟新聞」のビッグビルディング。
で、すぐに萬代橋へ到着しました。
信濃川です。
あっと言う間に目的地の萬代橋へ到着してしまいました。 約900mのショートブラ旅でした。
でもまだ時間があったので、もう少し足を伸ばしてみようということで、古町の方へテクテクと歩き出しました。 萬代橋を境目にしてビジネス街の昼の町と古町方面の夜の町に分かれています。 かつて古町は日本有数の遊郭で、京都の祇園、東京の新橋と並んで三大花街と呼ばれているエリアです。 最盛期には150件もの置屋があったそうです。 花街の昼の顔も見てみたいということでウロウロしました。
アーケードを覗くと、本町市場で地元の野菜を中心に露店販売されていました。 なんでも新潟は茄子の消費が日本一で色々な種類が売られていました。
そして人形横町。
ご存知の方も多いと思いますが、新潟は漫画家の水島新司を生み出した街でもあります。 古町アーケード街には「あぶさん」や「ドカベン」などのキャラクターの銅像が展示されています。
▼ドカベン
▼里中智
最後は新潟市のランドマークのひとつである「NEXT21」ビルの展望台からの眺めを堪能しました。
少し曇り空でしたが、けっこうな眺めでした。
ほんの数時間でしたが、新潟の街の一部を楽しみました。
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2015-10-01 読みやすい!村上春樹著「職業としての小説家」がたまらなく面白い!
いま(平成27年10月1日現在)書店に行くとほぼ間違いなく平積みされている本があります。 それは村上春樹の「職業としての小説家」というタイトルのエッセイ本です。
文字通り村上春樹は小説家です。その小説家としての自身が小説をどのようにして書いてきたかということが赤裸々紹介されています。
早く読み終わるのがもったいないので、ゆっくりゆっくり味わうように、そして同じ章を何度も読み返しながら読み進めています。
なのでまだ完読していませんが、その面白さを少しでもお裾分けしたくて、ご紹介させていただきます。
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★★★
読みはじめた率直な印象としては「えっ、村上春樹ってこんなことまでオープンする人だったけ」というほど、小説家としての現場に踏み込んだ内容になっています。
村上春樹の小説を読んでいる人は、その創作の裏側を垣間みれるので、読んでいない方に比べると楽しさ倍増だと思います(もちろん読んでいない方も充分楽しめる内容です)。
ボクはハルキニストではありませんが、村上春樹の小説はほとんど読んでいます。 なので、この本を読むと、「へぇ〜あの小説をそういうテクニックが使われていたのか」という気持ちになり、過去に読んだ小説を再度読みたくなります。
それともうひとつの本書の特長は、ものすごく読みやすいということです。
何度くらい書き直すのか? そう言われても正確な回数まではわかりません。原稿の段階でもう数え切れないくらい書き直しますし、出版社に渡してゲラになってからも、相手がうんざりするくらい何度もゲラを出してもらいます。
このように、村上春樹の創作スタイルは何度も何度も何度も文章を読んでは修正するということを繰り返すようです。 だから文章の流れが非常に自然で読みやすい。 「あぁこのような文書が書けたら」と無いものねだりをしてしまいます。
村上春樹のファンだけではなく、小説家を目指す方や文書を綴ることを生業としてい方にはとても参考になる本だと思います。
Information
著 者:村上春樹 発行者:新井敏記 発行所:株式会社スイッチ・パブリッシング 目 次 ・第1回 小説家は寛容な人種なのか? ・第2回 小説家になった頃 ・第3回 文学賞について ・第4回 オリジナリティーについて ・第5回 さて、何を書けばいいのか? ・第6回 時間を味方につけるー長編小説を書くこと ・第7回 どこまでも個人的でフィジカルな営み ・第8回 学校について ・第9回 どんな人物を登場させようか? ・第10回 誰のために書くのか? ・第11回 海外に出て行く。新しいフロンティア ・第12回 物語のあるところ・河合隼雄先生の思い出
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2015-09-29 ドイツ人のコメディ感覚がなんとなく伝わってくる『グッバイ・レーニン』
「グッバイ・レーニン」のレーニンは、もちろん社会主義の象徴的存在であるソ連の初代最高指導者であったウラジーミル・レーニンです。
したがって「グッバイ・レーニン」というのは、「さよなら社会主義」という意味で、東西ドイツの統合がテーマになっている映画です。
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★★★
少しだけネタバレすると、主人公の母親が心臓発作で意識を失っている間に、なんと東西ドイツが統合してしまい、意識が戻った母親がショックを受けないように、母親の前では東西ドイツが分断されたままであるという嘘をつき続けるというストーリーです。
東西ドイツの統合もテーマですが、家族愛も主題のひとつになっています。
物語の描き方はけっしてシリアスではなく、ユーモアにとんでおり、ドイツ人のユーモアというか笑いの感覚に触れることができる作品です。 現実の東西ドイツの統合でも、実際にあったのではないかと思わせるシーンがいくつかあり、それだけでも充分に楽しめます。
オススメ映画です。
ちなみにボクはヒロイン役のララ(チュルパン・ハマートヴァ)のファンです。きゃわゆいです。
Information
公 開:2004年2月(日本) 製作国:ドイツ 配 給:ギャガ 監 督:ウォルフガング・ベッカー
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2015-09-15 【ブラ旅】地下鉄「北山駅」から世界遺産「上賀茂神社」まで in 京都
京都で北山というと文字通り京都市の北に位置する山を指す場合もありますが、東西に走っている北山通りを指す場合もあります。 この北山通りはアパレルショップやレストランが立ち並ぶちょっとオサレな地域でもあります(近隣に京都セレブがお住まいになっているということが影響していると思います)。
北山で仕事が終わったので、上賀茂神社まで軽くブラ旅することにしました。 目標はもちろん上賀茂神社ではなく、その近くにある今井食堂でサバ煮定食を食べることです。
さっそくゴー!
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地下鉄「北山駅」から「上賀茂神社」へ
「北山駅」は京都市営地下鉄の北の終点「国際会館駅」の2駅手前の駅です。
この近辺は美味しいお店が一杯あり、またギャラリーなども多くて見所がいろいろあるエリアです。 安藤忠雄設計の「京都府立 陶板名画の庭」も北山通に面しています。
ハロウィンが近いということもあって、大きなカボチャが売られていました。 写真では大きさがわかりづらいと思いますが、かなり大きいカボチャです。
ここからスタートです。 歩き出すとさっそくギャラリーなどが。
そうかと思ったら、いきなり畑が。
この辺が北山のいいところですね。
しばらく北方面へ歩を進めると、「大田神社」が見えてきます。
そして大田神社の前には、あの北大路廬山人生誕の地があります。
そして秋の花なども愛でながら、さらに歩き進みます。 次に「藤木社(ふじのきのやしろ)」が見えてきます。 樹齢500年以上の楠の下に瀬織津姫神(せおりつひめのかみ)が祭られています。 壮観です。
そして明神川で涼感たっぷり味わいながらさらに歩きます。
川の流れる音がいいですね。
色鮮やかな番傘の天干しです。
「すぐき漬」で有名な『なり田』もこの通り沿いにあります。
そして『なり田』をやり過ごすと、ようやく目的地の上賀茂神社に出てきます。
天気がよくて、ほどよく風もあったので、ほんとに気持ちよかったです。
ここまで約1.9kmで所用時間は約30分でした。
上賀茂神社をお参りして、本当の目的である『今井食堂』へ。 するとお休みではありませんか! オーマイガット!
くーーーーーっ(涙)。 『今井食堂』はまた近いうちにレポートします(この日は近くの『中華のサカイ』へ行きました)。
ではでは。
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2015-09-12 現実の姿を正しく把握する力を身につけたい方に読んでいただきたい『イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」』
イギリス人で文化財補修では最大手の小西美術工芸社の社長であるデービッド・アトキンソンさんがテレビに出演されているのを観て、説得力のあるコメントをする方だなと感心しました。
ちょっと興味をもったのでさっそく著書『イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」』を買って読んでみました。 するととても多くの気づきを与えてもらったので、参考までにご紹介します。
さすがは元アナリストと唸るほどの事実ベースの論理構成
この本は現実の姿を正しく把握する力を身につけたいと思っている方に読んでいただきたいです。
新しい気づきがあり、自分でもその根拠を調べてみようかと思いました。 耳の痛い話も多いですが、確かにそうかもという代表的な「新たな気づき」をご紹介します。
- 日本人は他国と比較して優劣をつけるのが好きだが、本当に正しく強み・弱みを比較することができているのか。特に気をつけないといけないのは、自国への礼讃というものは他国への侮辱と表裏一体ということです。 例えば「日本人の味覚は和食を生み出したほど繊細だ」という意見をいうと、他国は味に鈍感だと言っていることに等しい。そして、味覚が繊細とは何をもって証明するのか。そもそもその結果をもって何をしたいのか。
- 日本が経済大国なのは人口大国だからで、ある意味当たり前である。また、日本は戦前から先進国(1939年時に世界第6位)だった。したがって戦後復興は奇跡ではなく、ある意味当然の結果である。
- 日本人は自分の仕事の内容に対して自身のなかで優劣をつけない。結果よりも行為自体にプライドをもって取り組んでいる。
- 仕事の効率が悪い(IMFの調査で28位)。Standing Around(傍観者?)が多い。無駄な仕事(経済効果がない仕事)であってもマジメに取り組む。これらは経営者の問題である。日本の経営者はプロセス重視で精神論が好き。その割に数字に対しては無頓着である。その経営者を従業員が残業等をして結果を出してきたのが日本だある。
- 完璧主義者がコストを考えずに仕事をしており、予算に見合った適度なところで妥協しない。本来は別の場所で求めるべき夢を仕事に持ち込みすぎている。
本書は決して日本を非難する本ではありません。冷静な分析から得たひとつの含蓄ある意見です。すべてに賛同するわけではありませんが、客観的かつ冷静に考えれば「なるほど」と思う点も非常に多いですね。
この本を読んでみて、自分も事実ベース、数字ベースで冷静に現実を捉えることができるようになりたいと思いました。 オススメの本です。
Information
著 書:デービッド・アトキンソン 発行者:鈴木哲 発行所:株式会社講談社 目 次: ・はじめに ・第1章 確かに優秀な「日本人労働者」という強み ・第2章 「長い会議が象徴する効率の悪さ」という「伸びしろ」 ・第3章 「数字を重視しない経営者」という「弱み」 ・第4章 「面倒くさい文化」は「強み」か「弱み」か ・第5章 インテレ層の知的レベル、Woolly Thinkingの問題 ・第6章 古いものと新しいものが「共存」しているという「強み」 ・第7章 「解決能力」と「強すぎる個人主義」
2015-09-12 愛と死と幸福、そして狂気を考えさせる秀作『ベティ・ブルー』
本国フランスでの公開が1986年なのでかなり古い映画ですが、いま観ても古さを感じません。 邦題は「ベティ・ブルー〜愛と激情の日々〜」となっていますが、まさに愛と激情を感じさせます。
インテグラルのリニューアル版はなんと3時間5分もありますが、時間のある週末に久しぶりに(25年ぶり?)鑑賞しました。 まったく先が読めないストーリーの展開は新鮮で、おもしろいです。 さっそくご紹介しましょう。
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愛と死と幸福、そして狂気というものを考えさせてくれます
この映画はひらたく言うと男女の恋愛映画です。 ただその内容が過剰なんです。
多少ネタバレしてしまうと、海辺のコテージに住むゾルグ(年齢不詳)という男性と若い女性ベティが出会い、お互い愛し合うことになります。 途中でベティが20歳の誕生日を祝うシーンがあるので、最初は10代ということになります。 なかなかませた10代ですね。
激しく求め合う二人ですが、妊娠をしていると思っていたのに、妊娠していないことがわかったところから、すこしずつベティの精神状態が崩れ出します。そして二人に悲劇が訪れます。
この作品の特筆すべき点は、なんといってもベティの際立ったキャラクターです。 ゾルグに作家の才能があることを信じ切って様々な行動に出る(信じるのではなく、信じ切っています) 思ったことをすぐに行動に移しちゃう(コテージに火をつけたり、拳でガラスを割ったり) 自分勝手(自動車を運転させろと言ってハンドル握ったのに、途中で車を止めてどっかに行っちゃう) 住んでいる部屋の壁をゾルグがハンマーでぶち抜くシーンがあるのですが、普通は壁の手前側に居て壁の破片やホコリがかからないようにすると思うのですが、ベティは壁の向こう側に座って、破片やホコリが自分にかかるのを喜んでいる。 まさに自由奔放です。 でもものすごくピュアなんです。 そしてピュアであるがゆえに精神的に病んでいくようになる。
この作品を観ると、愛と死と幸福、そして狂気というキーワードが頭に浮かび、いろいろと考えさせられます。 3時間は長丁場ですが、刺激的で時が経つのを忘れてしまう作品です。
Information
公 開:1987年(日本) 製作国:フランス 配 給:FOX 監 督:ジャン=ジャック・ベネックス
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