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2015-06-14 【書評】大人の男を目指す方だけではない、それ意外の方に読んでいただきたい「無頼のススメ」 

著者の伊集院静さんは、ボクの好きな作家のひとりです。 綺麗な日本語で綴られた小説やエッセイもイイのですが、なによりご本人が魅力的です。 「最後の無頼派」と呼ばれるほどに、酒、ギャンブルに明け暮れる男ぶり。 そして、オンナにモテる(らしいです)。 そんな「最後の無頼派」が書いた「無頼のススメ」。 これを読まずしてなんとするということで本書を手にとりました。 まったくもって期待を裏切らない内容でした。 さっそくご紹介しましょう。

★★★

本書を読んで知ったのですが、ご自身は無頼派と呼ばれることは本意ではないようです。 まぁ確かにそう呼ばれると照れくさいのでしょう。 しかし、無頼とはそういう酒とか、ギャンブルとか、表層的なことを意味することではない。 無頼というものは「頼るものなし」という自立した大人の生き方です。 そういう自立した大人になるための考え方のヒントがちりばめられている本です。 なので、膝を打つというよりは、じわ〜と書かれている意味が染み込んでくるような感覚を受けます。

本書の真骨頂は「毒」についてちゃんと書かれていることだと思います。 キレイ事を並べ立てた理想論ではなく「生きる」ということを真正面から捉えた混じりっけのない現実論が展開されています。 特にボクが共感をもった章は以下のものです。

・正義を声高に語るな ・すぐ役立つものはすぐ役に立たなくなる ・人とつるまず「弧」を知ること ・人間の抱える悪を見つめる ・誰でも「事情」を抱えて生きている ・安心・安全なんてあるものか

どうですか。 タイトルだけでもグッとくるでしょ。

なかでも「同時代を生きる者の責任」という章があって、氏が朝日新聞従軍慰安婦報道に関する論考は秀逸です。 達観されていて、深く考え抜かれた見解が見事です。 ここに書くと本筋が捉えられなくなるかもしれませんので、詳細は本書にあたってください。

一度目の読みと二度目の読みでは、気づきのあるところが違ってきます。 それほど奥深い内容になっています。 基本的に男性向けに書かれた本だと思いますが、すべての方に読んでほしい本です。 ボク自身もすべての考えに共感を覚えたわけではありませんが、新たな気づきを得る意味でも本書の存在は大きいと言えます。

オススメの一冊です。

★★★