本書は、スティーブン・R・コヴィー著の「7つの習慣」からの流れにある実践シリーズの1冊です(もちろん「7つの習慣」も読んでおります)。
本書を手に取った理由は、昨今のコンサルティングの現場で旧態然とした管理をしたがる管理職と、チームのメンバーとうまくコミュニケーションをとって、チームのメンバーを目的地にうまく導いているリーダーの両方に接する機会があります。
前者には「あんた、なんでそんなに部下を管理したがるわけ?ひま?」と聞きたくなります(実際に聞くこともあります)。
そこで、ボク自身もそうならないようにこのあたりのマネージメントやエンゲージメントに関する考え方を整理しておきたいと思っています。
そういう意味では、大変勉強になった1冊です。
★★★
本書の構成は大きく2つのカテゴリーで構成されています。
コーチングの4つの原則はさらに以下の4つの目次構成となっています。
1.信頼
2.潜在能力
3.コミットメント(決意)
4.実行
7つのコーチングスキルは以下の7項目です。
1.信頼を築く
2.
パラダイムを疑う
3.戦略を明確化する
4.完璧に実行する
5.効果的なフィードバックを提供する
6.才能を引き出す
7.中間層を押し上げる
7つのスキル
「7つの習慣」の「7つ」にかけてあるのか、副題には「人・チーム・組織の潜在能力を解き放つ、7つのコーチング・スキル」とこちらも7という数字がキーポイントになっています。
もちろん厳選された7つのスキルなので、すべて大切なスキルなのですが、なかでも「1.信頼を築く」がボクにはガツンときましたね。
本書を読み進めるなかで全篇を通して重要となるキーワードがこの「信頼」です。
したがって、「コーチングスキルは人格の上に築かれてこそ効果を発揮されます」という言葉にもあるように、この「信頼」が何よりもプライオリティーであり、一丁目の一番地ということでしょう。
コーチング・スキルその1「信頼を築く」
コーチとしての成功は常に「インサイド・アウト(内から外へ)」の手法から生まれます。
信頼関係を築くには、まず個人が信頼に値する人物であることが必要です。
その上で、コーチングする相手との間に信頼関係を築いたり、場合によっては信頼を取り戻したりすることを重要視します。
1.相手の人格を分析する
2.相手の能力を診断する
本書の特定は、各スキルで用いられる「質問集」が数多く事例として掲載されていますが、ここでもいくつかの質問があげられており、大変参考になります。
まとめ
現在は、成果を出す組織のスタイルが、上からの指示・命令から、個人が自ら考え、計画し、行動することへ変化してきています。
それは、ITの技術向上や普及にも起因している「スピード」がポイントになります。
そのような時代背景においては、厳しくかつ思いやりがある方法で、現場からも見通しが効く目標を部下に的確に伝え、各人の結果に対するアカウンタビリティを浸透させ、部下との間にWin-Win型の合意を形成する必要があります。
そういう意味では、本書は時代にマッチした内容になっています。