2016-02-11 リュック・ベッソンが選ぶフランス映画『セリ・ノワール』を鑑賞!

1979年に公開された古いフランスの映画です。

この作品を知ったきっかけは、ピエール・ルメートルの「悲しみのイレーヌ」を読んだ時に「セリ・ノワール」という小説がでてきます。 これは第二次世界大戦後にフランスで興隆したギャング物の犯罪小説らしいのですが、内容を詳しく知りたくて検索したところ、小説に関する作品の情報はでてこなかったのですが、同名の映画がDVDが販売されていました。 さらにリュック・ベッソンが若い頃に感銘を受けた7作品のひとつに選んでいるということもあって、興味が湧いてきたので惹かれたので、観てみました。

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★★★

これはフィルム・ノワールのカテゴリーに入る作品なのかもしれませんが、恋愛映画なのか、娯楽映画なのか、社会問題を取り上げたのか、バイオレンス映画なのかよくわからなかったというのが正直な印象です。 ラストもこれで「ええんかい!」とツッコミを入れたくなるような終わり方です。 フランス映画っぽいといえばそうかもしれません。

印象にのこったのは主演のパトリック・ドベールです。 フランスの俳優ですが、作中ではものすごい激情家です。 叔母から売春を強要されている少女モナに同情を寄せた優しさをもっているかと思うと、人をあやめたあとに平然としていたり。 この人の人格は大丈夫か、と思ってしまいます。 しかも、それが演技なのか、本当はこの人本人がおかしいのかと思わせるほどです。 ちょっとイッてしまっている感じがあるんですよね。 いい俳優だと思いますが、残念ながらこの映画の公開3年後の1982年に自殺しています。 映像からもそういう危うい感じが滲みでています。

犯人は捕まるべきとか、ヒーローがほしいとか、白黒ハッキリつけてほしいとか、作者の意図を理解したいとか、ハリウッド映画的な結論を求めている方にはこの映画は向きません。 ようわからん、ようわからんけど、なんか印象に残るものがある。 それだけでいい、そういう映画です。 なんかよくわからんけどこれはこれでありよねとか、ときどき特定のシーンの映像が浮かぶとか、あのフレーズが好きとか、そんな感じで楽しめる方にはイイと思います。 ボクも映画の冒頭で主人公のフランク(パトリック・ドベール)が曇天の空き地に車を止めて、格闘技まがいの一人芝居をするシーンがあります。これが非常に印象にのこっています。 このシーンの目的とか意味とかまったくわかりません。作者が何を伝えたかったのかもわかりません。でも映像が自分のなかにのこっています。いずれボクのなかで何かの答えにたどり着くかもしれないし、たどり着かないかもしれない。 それでいい。 そういう映画です。

Information

公 開:1979年4月 製作国:フランス 配 給:日本では劇場未公開 監 督:アラン・コルノー

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