2015-10-18 後味がしっくりこない・・・はずが、あとでじわっと感じ出す『ノー・マンズ・ランド』

まぁ後味のよくない映画でした(と最初は思いました)。 でもしばらくたってよくよく考えてみるとハッピーエンドで終ってはいけないテーマなので、作者は意図的に後味を悪くしたんだと気付きました。 そういう意味からしても一度は観ておくべき映画だと思います。

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★★★

題材は1992年に勃発したボスニア・ヘルツェゴビナ紛争。 そのボスニア軍とセルビア軍の中間にあたる無人地帯(ノー・マンズ・ランド)で繰り広げられる物語です。

ボクがインディペンデント系映画を観るときは、まったく予備知識を入れないで鑑賞するようにしています。 メジャー映画だとどうしてもあっちこっちの広告を目にしてしまい、いやがうえでも変な先入観を持ってしまいます。 でもインディペンデント系だとほとんど広告が打たれていないので、白紙の状態で映画を観れます。 (ただ本作品はインディペンデント系といっても2002年のアカデミー賞の外国語映画賞に輝いていますが)

で、この映画のボクの印象は物語が流れるにしたがって変わっていきました。 最初は「戦争映画か」。 途中から「これは友情がテーマか」 そして最後には「ひぇ〜そうきたか。でも紛争を題材にした映画ならそれってありよね」 という感じです。 途中で登場人物にシンパシーを抱きだすので、なおさらラストシーンがキッツいです。

観終わった瞬間は「えーっ!それはないやろぉ」という印象を持つのですが、よくよく考えると、とても腑に落ちてきますし、逆にそれしかないよなとも思えてきます。

戦争映画にありがちなドンパチ繰り広げて、何人も人が死ぬというものとは一線を画しており、偏った見方を排斥し、人間同士の争い事がいかに愚かなことかという普遍的メッセージを伝えてくれる秀作です。

Information

公 開:2002年5月 製作国:ボスニア・ヘルツェゴビナスロベニア、イタリア、フランス、イギリス、ベルギー 配 給:ビターズ・エンド 監 督:ダニス・タノヴィッチ

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