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2015-09-12 現実の姿を正しく把握する力を身につけたい方に読んでいただきたい『イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」』

書籍(リベラルアーツ)

イギリス人で文化財補修では最大手の小西美術工芸社の社長であるデービッド・アトキンソンさんがテレビに出演されているのを観て、説得力のあるコメントをする方だなと感心しました。

ちょっと興味をもったのでさっそく著書『イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」』を買って読んでみました。 するととても多くの気づきを与えてもらったので、参考までにご紹介します。

さすがは元アナリストと唸るほどの事実ベースの論理構成

この本は現実の姿を正しく把握する力を身につけたいと思っている方に読んでいただきたいです。

新しい気づきがあり、自分でもその根拠を調べてみようかと思いました。 耳の痛い話も多いですが、確かにそうかもという代表的な「新たな気づき」をご紹介します。

  1. 日本人は他国と比較して優劣をつけるのが好きだが、本当に正しく強み・弱みを比較することができているのか。特に気をつけないといけないのは、自国への礼讃というものは他国への侮辱と表裏一体ということです。 例えば「日本人の味覚は和食を生み出したほど繊細だ」という意見をいうと、他国は味に鈍感だと言っていることに等しい。そして、味覚が繊細とは何をもって証明するのか。そもそもその結果をもって何をしたいのか。
  2. 日本が経済大国なのは人口大国だからで、ある意味当たり前である。また、日本は戦前から先進国(1939年時に世界第6位)だった。したがって戦後復興は奇跡ではなく、ある意味当然の結果である。
  3. 日本人は自分の仕事の内容に対して自身のなかで優劣をつけない。結果よりも行為自体にプライドをもって取り組んでいる。
  4. 仕事の効率が悪い(IMFの調査で28位)。Standing Around(傍観者?)が多い。無駄な仕事(経済効果がない仕事)であってもマジメに取り組む。これらは経営者の問題である。日本の経営者はプロセス重視で精神論が好き。その割に数字に対しては無頓着である。その経営者を従業員が残業等をして結果を出してきたのが日本だある。
  5. 完璧主義者がコストを考えずに仕事をしており、予算に見合った適度なところで妥協しない。本来は別の場所で求めるべき夢を仕事に持ち込みすぎている。

本書は決して日本を非難する本ではありません。冷静な分析から得たひとつの含蓄ある意見です。すべてに賛同するわけではありませんが、客観的かつ冷静に考えれば「なるほど」と思う点も非常に多いですね。

この本を読んでみて、自分も事実ベース、数字ベースで冷静に現実を捉えることができるようになりたいと思いました。 オススメの本です。

Information

著 書:デービッド・アトキンソン 発行者:鈴木哲 発行所:株式会社講談社 目 次: ・はじめに ・第1章 確かに優秀な「日本人労働者」という強み ・第2章 「長い会議が象徴する効率の悪さ」という「伸びしろ」 ・第3章 「数字を重視しない経営者」という「弱み」 ・第4章 「面倒くさい文化」は「強み」か「弱み」か ・第5章 インテレ層の知的レベル、Woolly Thinkingの問題 ・第6章 古いものと新しいものが「共存」しているという「強み」 ・第7章 「解決能力」と「強すぎる個人主義